「御盆礼」ののし紙は何を使う?ギフトのプロ3人に訊いてみました!【写真付き】

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新潟市で夏のギフトに使われる表書き「御盆礼」(おぼんれい)。

他県出身者にはなじみのない言葉です。

この記事ではそんな「御盆礼」について深堀りしています。

謎の表書き「御盆礼」とは何?

 新潟市内で8月中旬に使用される表書き(のし紙・かけ紙の上に書く言葉)「御盆礼」。

「おぼんれい」と読みます。

御盆の時期に訪問するご家庭への手土産(てみやげ)に付けられます。

割合でいうと「御中元」7、「御盆礼」3でのし紙作成のご依頼を受けます。

結論から書くと、

「御盆」という言葉が入るので誤解されやすいですが、仏事用ではなく慶事用のかけ紙を使用します。

 季節の贈り物、改まったご挨拶に持参する品にはのし紙やかけ紙を付けます。

(のし紙とは現在、水引・のしをプリントしたものを指します。本来、「のし」とは「のしあわび」というひし形の赤・黄のものを指す言葉。近年、「のし紙」と呼ばれているものは正式にはかけ紙なのですが通例にならいます。)

贈り物にのし紙をかけるのはむき出しの品物をそのままお渡しするのは失礼にあたるという昔ながらの習慣。

時代が変わったとはいえ、今でも特に目上の方への贈り物には付けるのが一般的です。

さて、贈答品のマナーには地域性があります。

有名な例は弔事用かけ紙の水引。

黒白は東日本、黄白は西日本というもの。

こうした細かな違いは各地にたくさんあります。

使うかけ紙の違いなどであればわかりやすいですね。

ですが、「表書き」(おもてがき)は使用される場面が限定されるので難しいところ。

「御盆礼」は、そうした地域性のある表書きです。

私はこの表書きを新潟市に来て初めて知りました。

職場の人たちに尋ねてみたのですが、明確な返答は得られませんでした。

地方都市の中心部でよくあることですが、全員他県・他地域出身者だからです。

そのため、自力で調査することとなりました。

まず、辞書にはどう書かれているかと言いますと以下の通り。

広辞苑【盆礼】ぼんれい 盆に行う贈答。盆立(ぼんだて)。季語【秋】

大辞林【盆礼】ぼんれい 中元の挨拶(あいさつ)。特に盂蘭盆(うらぼん)に嫁が手土産を持って里帰りする風習。盆立て。いきみたま。季語【秋】

ブリタニカ【盆礼】ぼんれい 盆に行われる訪問、贈答。盆を凶礼とするのは仏教の影響によるもので、もともとは正月と同様に祖霊祭の日であったため、子方から親方へ正式の訪問がなされ、そうめん、米、あるいは塩さばなどの食品の贈答が行われた。これを十五日礼という地方があるのは、それが盆の15日頃に行われるためである。

日本国語大辞典  盂蘭盆会に行う贈答。

方言①盂蘭盆会に親類知己などが贈り物をしたり、宴に招いたりして挨拶を交わすこと。

②盂蘭盆会に嫁や婿が里に挨拶に行くこと。

『日本国語大辞典』によると①は青森・宮城・秋田・京都・大阪などの一部で使われているとか。

②は福島・京都・丹波の一部。

*凶礼…葬儀にかかわる儀礼のこと。

細かな違いはありますが、御中元の時期に行われる贈答、または宴会のことだとわかります。

『日本国語大辞典』の方言の項目で新潟市があがっていません。

これは「方言あるある」ですね。

昔と違い、交通機関が発達した現代社会。方言地図と現実にはかなりずれが生じています。

当然のことながら、辞典にはのしに関する記述はありません。

のし紙・表書きについてはやっぱりマナー本。

私は「御盆礼」を様々なマナー本で調べましたが言及されているのは一冊だけ。

しかも数行でした。

以下、抜粋です。

「(中略)このうち中元の慈悲神様が仏教の盂蘭盆会(お盆)と結びついて日本に伝わり、七月十五日に仏に供える供物を親類や隣近所に贈る習慣ができたようです。今でも「中元」といわず「盆供」「盆礼」と呼んでいるところがあるのはそのためだと思われます。」

(参考文献;『こんなときどうする?冠婚葬祭 伊勢丹の最新儀式110番』 p291)

要するに、仏教由来の行事だという伝統をふまえた言葉のようです。

この箇所にかけ紙については言及がありません。

こんな時には地元のプロに訊くのが一番。

ご当地 冠婚葬祭マナーのプロと言えばその地域の百貨店・総合スーパーマーケットのギフトセンターです。

百貨店・大手総合スーパーマーケットのギフトセンターの人に尋ねてみました。

ご協力いただいた方々、ありがとうございます。

百貨店・総合スーパーのギフトコーナーの方々です。

お三方とも新潟生まれ・新潟育ちだそう。

Aさん(百貨店ギフト担当)

お盆期間中に訪ねる知人宅へ持参する手土産につけるもの。

ほぼ「御中元」と同じように使われている。

のし紙は紅白蝶結び・のし付き

まれに、先方にご不幸があった時には黄白のかけ紙を用いることがある。

お客様から特に指定された時以外は使わない。

「御盆」という文字が入るので誤解しやすいが仏事ではないので注意。

●Bさん(百貨店ギフト担当)

8月13日から15日に、お世話になった方のお宅に持参する手土産につけるもの。

新潟市内は御中元を持参することが多く、その時に使われる。

よって、配送するときには使わない。

「御中元」よりやや使用範囲がせまい表書き。

新潟では近年になって使用されるようになった表書きで、きっかけや使用される地域は不明。

のし紙は紅白蝶結び・のし付き

先方のご家族に差し上げるのが「御盆礼」

お仏壇にお供えしてもらうのが「御供」と覚えるとよい。

普通は外のし。

新潟市一帯で使われてる印象。

Cさん(総合スーパーのギフトコーナー担当)

「御中元」と同じ。

〇〇〇(スーパーの名前)では手土産だけでなく配送する商品にも使用する。

のし紙は紅白蝶結び・のし付き

要するに「季節のご挨拶」だと思えばよい。

よく年配のお客様にご依頼をいただく。

(以上、2019年8月初旬 当サイトの管理人ちょろ調査)

全員、紅白蝶結び・のし付きと回答いただきました。

*写真は2021年7月に新潟伊勢丹のお菓子コーナーで付けてもらった「御盆礼」ののし紙です。

管理人は新潟市内でギフトの販売員をしていました。

御中元の場合は2,000円〜5、000の価格帯が主流ですが、御盆礼は1、000円〜1、500円の商品がよく出ました。

御盆礼に使われるのは水ようかんやゼリーの詰合せ、ちょっとした米菓のセットなどです。

こうした特殊な表書きは対応してもらえるオンラインショップが少ないのが現状です。

おすすめはこちらのショップ。

新潟の老舗米菓メーカー 加藤製菓さん。

▼楽天市場店に問い合わせたところ、のし紙(かけ紙)の表書きはその都度プリントアウトされるのだとか。

臨機応変に対応してもらえるありがたいお店です。

お店によってはのし紙に表書きが印刷されたものを使うところがあるんです。

*ちなみにお盆の期間は地域によって違います。

首都圏が7月13日〜16日、首都圏以外は8月13日〜15日のところ、8月13日〜16日のところがあります。

沖縄は8月20日〜22日くらいだといいますから、本当に地域差がありますね。

ちなみに広辞苑、大辞林、ブリタニカでは8月13日〜15日となっています。

弔事用のかけ紙 新潟市は東日本式?西日本式?

 先ほど、贈答品マナーで弔事用のかけ紙は黒白が東日本、黄白と書きました。

さて、新潟は中部地方。

東北でもなく、北陸かと思うと時々仲間外れにされ、天気予報で「関東甲信越」と呼ばれても梅雨入りはいつも「関東甲信」が先という微妙な位置にあります。

さて、どちらでしょう?かけ紙の水引は黒白?黄白?

答え → どちらも使います。

 黒白のかけ紙は四十九日、もしくは一周忌まで。

黄白はそれ以降、という人が多いようです。

実際に新潟生まれ・新潟育ちの女性に話を聞いたところ、

「悲しみが早く薄れてほしいという願いを込めているのでは?」「黒白は喪に服す意味が強すぎるのでは?」とご指摘を頂きました。なるほどです。

弔事用の表書き・名入れには薄墨を使用します。あれは早く悲しみが薄れるようにとの意味があるのだとか。

黄白の水引にもそういった配慮があるのですね。

 ただし、この黒白から黄白への切り替え時期については人それぞれ。

悩みどころです。

可能であれば2種類用意して一緒に法事に行く人などと合わせるとトラブルがないかな?と思っています。

黒白から黄白の水引への切り替えは名古屋にもみられるそうです。

このように贈答品のマナーには地域差があるものです。

「郷に入っては郷に従え」。

その土地のマナーを学んでいきましょう!

お付き合いいただき、ありがとうございました。

オンラインショップで特殊なのし紙に対応して下さるところは少ないです。

▼新潟の老舗米菓メーカー。管理人は新潟で最も原材料のよいお店だと思っています。

▼ギフト専門店 ギフトリアンさん。こちらも楽天市場店に問い合わせました。

その都度、印刷して下さるそうです。

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