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2021年に日本で発売されたサラ・ピンバラの『瞳の奥に』。
原作は2017年イギリスで出版された『BEHIND HER EYES』です。
「意想外の展開」「驚天動地の心理スリラー」として読書界を沸かせました。
その衝撃はギリアン・フリンの『ゴーン・ガール』が引き合いに出されたほどです。
2021年2月にはNetflixでオリジナルドラマ化され、視聴者がラストに驚愕。
SNSで感想を検索すると、世界中で好評の様子です。
この記事では『瞳の奥に』原作小説をご紹介したいと思います。
『瞳の奥に』登場人物とあらすじ
『瞳の奥に』構成と登場人物
原作は三部構成、550ページを超える長編小説です。
アデルとルイーズ、それぞれの一人称で語られるパートが交互に、アデルとディヴィッドの過去のパート「かつて」が不規則に配置されています。
主要な登場人物は以下の通りです。
【主要登場人物】
- ルイーズ 34歳のシングルマザー。
- アダム ルイーズの息子。6歳。
- ソフィー ルイーズの友人。
- イアン ルイーズの元夫。
- リーズ イアンの妻。
- ディヴィッド・マーティン 精神科医。
- アデル・マーティン ディヴィッドの妻。
- サイラス博士 クリニックの院長
- スー ルイーズの同僚
- アンソニー・ホーキンス 患者
- ロブ(ロバート) アデルの友人。
【エピグラフ】
三人でも秘密は守れる、そのうち二人が死んでいれば
ベンジャミン・フランクリン
『瞳の奥に』あらすじ
34歳のシングルマザー ルイーズ・バーンズリー。
クリニックで受付兼秘書をしています。
小柄で金髪、ややぽっちゃりした体形。
ユーモアセンスがあり、明るく魅力的な女性です。
職場での人間関係は良好。
やんちゃ盛りの息子アダムとともに、ロンドンのコンパクトマンションで暮らしています。
女手ひとつで子育てをし、仕事と家事をこなすのは大変ですが、持ち前の明るさで毎日を乗り切っています。
息抜きは友達とのおしゃべり。
友人 ソフィーは奔放で隠し事をしないサバサバした性格の既婚女性。
ルイーズとソフィーはワインとタバコを楽しみながら、打ち明け話をする間柄です。
ある夜、ルイーズは興奮してソフィーに自分の体験を告白します。
バーで出会ってキスをした男性が、新しい上司だった―。
失敗談を面白おかしく話すルイーズ。
先日、ルイーズが勤務する病院の院長に連れられて入ってきた新任医師。
その男性は、ルイーズがバーで盛り上がって一線を越えそうになった相手でした。
まるで一昔前のコメディドラマです。
ルイーズは新しいボスが「バーの男」とわかると、自己紹介をせずにトイレに逃走。
彼が帰るまで、個室に閉じこもっていたのです。
ルイーズが慌てたのも無理はありません。
「バーの男」は、妻を連れて職場に来ていました。
彼の名前はディヴィッド・マーティン。
優秀な精神科医である彼は、ブロンドに近い茶色い髪、鍛えられた肉体、青い眼を持つ魅力的な男性です。
彼の妻 アデルも非常に美しい女性で、見る人の目を奪います。
長い黒髪、細身できれいに日焼けした褐色の肌、隙のない服装はまるで女優。
アデルはアンジェリーナ・ジョリーを思わせるミステリアスな雰囲気をたたえています。
ディヴィッドとアデルが並んでいるとまるで絵画のように完璧です。
ルイーズとディヴィッドは職場で顔を合わせた当日、何事もなかったように振る舞おうと話し合います。
良識ある、大人の対応ですね。
ルイーズはこれで平穏な生活に戻れると思っていましたがそうは行きません。
数日後の朝、ルイーズはアデルと街ででくわします。
ルイーズの前方不注意で、アデルに派手にぶつかってしまいました。
これがきっかけでルイーズとアデルはカフェでコーヒーを飲むことになります。
はじめは、アデルの出方を見ていたルイーズ。
ですが、話してみると睡眠障害、夜驚症(夜、大声で叫んで目が覚めるなどの症状)と同じ悩みを持つ二人は意気投合。
急速に距離を縮めます。
偶然の出会いに見えますが、これはアデルが仕組んだもの。
アデルはなんらかの意図を持ってルイーズに近づいたようなのです。
アデルはその後もルイーズをランチやお茶に誘い、自分が通う高級スポーツジムにまで連れていきます。
ジムの会費はアデル持ちです。
アデルはヘビースモーカーのルイーズに、電子タバコをプレゼント。
ルイーズをほめそやして、アルコールの量を減らすように誘導します。
アデルとルイーズはまるで本当の「友人同士」のようにメールを交換し、他愛ないおしゃべりを楽しみます。
ルイーズには友人ソフィーがいるとはいえ、恵まれた環境にいる彼女に距離感を持っていました。
共感しあえる相手に飢えていたんですね。
最初は及び腰だったルイーズですが、アデルとの交流に浮かれてしまいます。
若くて美しい、はかなげな女性が自分を慕ってくれるんですから、当然と言えば当然ですね。
ですが、アデルの心中は寒々しいものでした。
アデルのパートで語られるのはディヴィッドへの愛と献身。
アデルの気持ちがディヴィッドに届かず、冷え切った夫婦関係であることへの不安と悲哀です。
アデルはディヴィッドの愛情を自分に向けるために、何かを企んでいる様子。
時には心の中でルイーズを口汚く罵るなど、不穏な雰囲気です。
一方、ディヴィッドはルイーズが忘れられません。
アデルとのギスギスした夫婦生活、会話に混じる過去のいざこざはディヴィッドを疲れさせていました。
妻とは正反対の、明るく気取りのないルイーズをつい目で追ってしまう日々。
そしてある夜、ディヴィッドはルイーズのマンションで関係を結んでしまいます。
複雑な三角関係、アデルの両親が死亡した事故、ディヴィッドとアデルの過去、アデルの少女時代の友人ロブとの思い出、夜驚症を克服するための不思議な訓練。
こんがらがった男女関係に、「夢」「幽体離脱」が絡み、恐ろしい結末へ突き進みます。
『瞳の奥に』ネタバレと感想
『瞳の奥に』ネタバレ
この小説は何の知識もないままに読む方が楽しめると思います。
まあ「意想外の展開」「驚天動地の結末」とあると、数ページ読んだだけで何か察するミステリー&ホラー好きはいらっしゃると思いますが。
未読の方はご注意ください。
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アデルは夜驚症を克服するために使ってほしい、とルイーズに一冊のノートを渡します。
それはアデルの友達だったロブという少年の日記です。
アデルとロブは、アデルの両親が事故死した後に預けられた施設で知り合いました。
薬物中毒で入所していたロブですが、直観力に優れた賢い男の子だったのです。
ノートにはロブが編み出した、夢をコントロールする方法が書かれていました。
やり方は瞑想に似ています。
体の一部一部を味わうように精神を集中させると心の状態が落ち着きます。
これを繰り返していると夢が明晰になり、悪夢を見たときに「ドア」が見つかるらしいのです。
その「ドア」を開けると穏やかな場所に行ける―。
ルイーズは半信半疑でトレーニングを始めます。
最初はうまく行きませんが、徐々にコツをつかんでいくことに。
ディヴィッドと不倫関係になってしまったルイーズですが、もともと善良な女性です。
浮気が原因で別れた夫 イアンは、不倫相手と再婚。
そして、新しい妻のおなかの中にはイアンの子供がいます。
イアンは一人息子アダムを大切に思っているため、自分の新しい家族ともなじんでほしい。
イアンは長期休暇中、アダムを連れてフランスに滞在したい、とルイーズに持ちかけました。
アダムはフランスと聞いて大よろこび。
ルイーズの反対をよそに、はしゃいで出かけていきました。
元夫は浮気して離婚した末に、自分から息子まで奪うつもり?
ルイーズは荒れてしまいます。
いつもはかわいいアダムも、母親の心境を全く理解しないところがうらめしく感じるほどです。
自分だけが取り残された心境、しかもワインを飲んでいた―。
ルイーズは判断力が鈍って、ディヴィッドと関係を結んだのです。
と言っても、一度関係を結んだ男女は歯止めがききません。
ルイーズはアデルに対し、罪悪感を抱きつつもディヴィッドとの逢瀬を重ねてしまいます。
アデルはディヴィッドとルイーズの関係を知りつつも、知らないふり。
今まで通り、仲良くふるまいます。
そして、徐々にアデルはルイーズに大きな影響力を持つようになります。
ルイーズはアデルから借りたノートに書かれていた方法で、夜驚症を克服。
そのノートには夢をコントロールする方法のほかに、ロブの日記も書かれています。
ロブの置かれていた劣悪な環境、クス〇におぼれた過去、アデルへの友情、アデルが出所すれば離れ離れになってしまう不安、その婚約者ディヴィッドへの不信感。
ロブの持っていた不安・猜疑心がルイーズにも伝染していきます。
そして
アデルは言葉の端々や態度でルイーズの潜在意識に働きかけます。
ディヴィッドは妻を監視するモラハラ夫。
貧しい農家の息子だった彼は裕福な妻の財産を手中に収め、妻を情緒不安定にするため危険な薬を投与している―。
もしかしたら、アデルの両親を死に至らしめた火事はディヴィッドが起こしたのでは?
徐々にディヴィッドよりもアデルを信じるようになるルイーズ。
そして、アデルは絶妙なタイミングでディヴィッドに、ルイーズと彼女は友達同士だと暴露します。
客観的に見ると、ルイーズはアデル・ディヴィッド夫婦のどちらとも隠れて交際していたのですから分が悪い。
第三者が話を聞いたら「なに?その女性、●ンヘラ?」と言われかねない状況ですよね。
怒ったディヴィッドはルイーズをストーカー女呼ばわりし、絶縁。
さらにルイーズは無謀にも、ディヴィッドが持つアデルのカルテを盗むために夜の病院に不法侵入してしまいます。
当然、防犯カメラがありますから、犯行はディビッドに露見。
ルイーズは病院を解雇されてしまいました。
不法侵入は犯罪。
ディヴィッドの判断は至当ですが、ルイーズにはひどい仕打ちに思えます。
自分と別れるだけならいいけれど、解雇はやり過ぎじゃない?
ルイーズにはディヴィッドの強硬な態度が「やましさ」の表れだと見えるんですね。
恋人だと思っていたディヴィッドは、卑劣な殺人犯かもしれない。
そんな疑惑がふくらんでいき、ルイーズはディヴィッドを警察に密告します。
アデルの両親の死後、ディヴィッドを容疑者扱いしていた警部に、彼の疑惑を書いて送ったのです。
このころ、悪夢をコントロールできるようになっていたルイーズに異変が起こります。
夢の中で「第1のドア」を開けるとおだやかで満ち足りた世界に行けます。
ルイーズはしばらく悪夢のない生活を楽しんでいました。
そのうちに悪夢はスキップされ、すぐにおだやかな風景に遊ぶアダムと自分を楽しむまでに。
そこに「第2のドア」が出現します。
ある日、夢の中で「第2のドア」を開いたルイーズ。
仲のよい隣人女性や眠っているアダムを観察する夢を見てしまいます。
夢にしてはすごくリアル。
アダムの部屋を確認すると夢で見た通り、ベッドサイドテーブルのグラスが倒れていたのです。
「第2のドア」を開けると、幽体離脱してしまう!
これは、アデルから聞いていた話とは違います。
夢をコントロールすると言っていたけれど、この方法って安全なの?
幽体離脱している間、身体は仮死状態になっているようなのです。
ルイーズはアデルを疑うようになります。
「主張」ではなく「事実」を突き止めるべく、ルイーズは独自に調査を開始します。
ディヴィッドから断片的に聞いていた二人の過去。
夫妻が住んでいた土地に行き、親しくしていた人たちをたずねて、アデル・ディヴィッド双方の言い分を第三者にぶつけてみます。
すると、アデルの話は真っ赤な噓。
異常なのはアデルの方だと分かります。
アデルはディヴィッドが楽しく会話しているだけの女性にも、脅迫やストーカー行為を行っていたのです。
ルイーズはディヴィッドを呼び出し、自分が探り出した事実を告げます。
ディヴィッドは躊躇しながらも、ルイーズの推測を裏付ける話を始めました。
アデルの精神状態がおかしいこと、極度の散財、妊娠したのに堕胎した過去があること、ディヴィッドの周囲にいる女性に病的な嫉妬をすること。
ディヴィッドはルイーズが書いた密告の内容を否定するために警察に行きますが、
その夜、アデルとルイーズは対決することに…。
【ラストまでの流れ】
実は少女時代のアデルとロブが行っていた「夢をコントロールする方法」は意識的にできる幽体離脱のようなもの。
一度訪れた場所なら、思い出すことでその場所に行くことができます。
アデルがディヴィッドの浮気を細かく知っていたのはそのためです。
アデルとルイーズは、ディヴィッドの留守中に電話で大ゲンカになります。
ディヴィッドをめぐって、本気で罵り合う二人の女性に、以前の親しさは見られません。
売り言葉に買い言葉、目も当てられない醜い争いです。
その後、アデルは自殺をほのめかし、ルイーズに友情を感じていたとメッセージを送ります。
人の好いルイーズ。
アデルを助けるため、アデルの家に向かいます。
しかし、アデルはすでに、自宅に火を放っていました。
アデルは燃えさかる炎の中、寝室のベッドに横たわっています。
まるですべての過去を清算し、静かにあの世に旅立つ覚悟をしているよう。
ルイーズはなんとかして家の中に入ろうとしますが、裕福なマーティン家の玄関は頑丈。
小柄な女性に破壊することはできません。
アデルを救うためには、幽体離脱して家の中を見るしかない―。
ルイーズは家の外で、幽体離脱を実行します。
実はこれは、全てアデルの計算通り。
ルイーズの魂が彼女の体から離れるのを見計らって、アデルはルイーズの体を乗っ取ったのでした。
アデルの体に入ってしまったルイーズの魂はそのまま死の世界へ。
事故の後、ルイーズ(の体を持つアデル)はディヴィッドと結ばれることになります。
そう、アデルの目的は夫の愛情が離れてしまった自分の体を捨て、ディヴィッドが愛する女性の体を手に入れること。
だからこそ、ルイーズをスポーツジムに通わせ、禁煙・禁酒させていたわけ。
身体が自分のものになる、と思っていればお手入れしたくなるというものです。
(これは対決のとき、〇〇の処理をするのに便利でもあります。)
ディヴィッドはアデルに解放され、自由に浮かれてルイーズの変化に気づいていない様子。
ですが、母親がおかしい、何かが変わったと気づいているアダムはアデルの邪魔になりそう。
アデルはそれも難なく排除することになるでしょう。
なぜなら、ルイーズの中にいるアデルにとって「邪魔者を消す」のはこれが初めてではないからです。
始まりはアデルが17歳で施設に入っていた時。
アデルと相思相愛のディヴィッドに、アデルの親友ロブが一目ぼれ。
ロブは〇スリ中毒ですが、頭の良い少年でした。
顔にはニキビがいっぱい、歯列矯正中のやせた男の子。
アデルに恋をしているディヴィッドがロブに振り向いてくれる可能性はゼロです。
ロブはディヴィッドに愛されたい。
アデルの美貌や裕福な家、疑うことを知らない天真爛漫さが妬ましい―。
ロブはアデルが〇スリでハイになっている時に「お互いの体を交換してみよう」と持ちかけます。
そしてアデルの体に入ったロブは、アデルの魂が入った自分の体を殺害。
森の枯井戸に死体遺棄しました。
そして、アデルが身に着けていたディヴィッドの時計を死体のそばにわざと落とします。
これは、ディヴィッドがアデル(中はロブ)と別れようとしたときに「ロブを殺害したのはディヴィッドだと警察に言う」と脅すため。
保険をかけたんですね。
ロブは自分の体を捨て、男性であることを捨ててまでディヴィッドのそばにいることを選んだのでした。
『瞳の奥に』感想
おもしろかったですね。
文章がとても読みやすいです。
続きが気になって、2日ほどで読んでしまいました。
ラストに納得がいくか?
はい、大丈夫でした。
そもそも、「夢」、「睡眠障害」、「第2の扉」、「夜驚症」の人間が登場人物が少ない小説に2人も出てくるなどのヒントから「まあ、普通の終わり方はしないな」と気づきます。
9割面白く読んで、ラストで壁に投げるなんてことにはならないです。
アデルが、親しくなったルイーズに対して
- タバコをやめさせ、電子タバコに切り替えさせる
- 会費を払ってまでジムに通わせ、シェイプアップさせる
これは現実的・常識的に考えると整合性のとれた回答が見つからないです。
タバコだけなら、「髪の毛や洋服ににおいがつくからやめてほしい」はありかな、と思います。
高い会費を払ってまで、恋敵をスポーツジムに通わせる、は難しいですね。
「ああ、来るな、変なラスト」ってフラグがたくさん立ってますよ。
この小説で一番気の毒なのはアダム。
罪のない子供が母親を奪われたのはかわいそうです。
次がディヴィッド。
命がけで愛していた幼馴染アデル(の魂)はすでに他界。
彼女を殺害した敵(ロブ)と一緒に暮らしているのですから。
しかも、アデルの中の人はディヴィッドが最初嫌っていたロブ。
悲惨です。
もちろん、ルイーズ、アデルのふたりもかわいそうですが。
不思議な、やりきれない思いを残す一冊でした。
さて、この「他人が身体を乗っ取る」テーマは先例があります。
小説の中に名前が出てきた『ステップフォードの妻たち』(アイラ・レヴィン)も「中身が別人格になる話」です。
▼ニコール・キッドマンが主演したリメイク版。管理人はキャサリン・ロス版(1975年)の方が好きです。
このテーマの歴史は古く、19世紀には西洋でちらほら出ていたようですね。
現在でも比較的入手が簡単なのは以下のようなもの。
有名なのはエドガー・アラン・ポーの小説「ライジーア」。
『ボディ・スナッチャーズ』のタイトルで映画化されたジャック・フィニィの『盗まれた街』。
フレッド・M・スチュワート『悪魔のワルツ』(角川ホラー文庫)
▼この小説を映画化した作品
▼映画『エンゼル・ハート』 一世を風靡したミッキー・ローク主演
アラフィフ女性であれば、この作品を思い浮かべる人が多いと思います。
前述したフレッド・M・スチュワート『悪魔のワルツ』へのオマージュと思わせる内容。
▼松本洋子『黒の組曲』
時代や作家の嗜好によって「乗っ取り」の目的が宇宙からの侵略だったり、宗教が絡んだりしますね。
「愛」と「妄執」による「乗っ取り」はポーが一番近いでしょうか?
魂の入れ替わりは映画『転校生』の原作『おれがあいつであいつがおれで』(山中恒)の影響が大きく、インスパイアされた漫画は枚挙にいとまがありません。
ですから、この小説の惹句「驚天動地」には疑問符がつきますね。
日本人ならそんなに驚かないのでは?
男性が、恋をした男性のために女性の体を乗っ取るのが珍しいかな…。
これ、『瞳の奥に』のようなホラーではなく、リアルにするとアルモドバルの『私が、生きる肌』くらい生理的に駄目な人が出てくると思います。
Netflix版『瞳の奥に』の感想
公開 | 2021年 |
原題 | BEHIND HER EYES |
キャスト | シモーナ・ブラウン/イヴ・ヒューソン |
回数 | 6話 |
【エピソード】
- 「偶然の出会い」
- 「明晰夢」
- 「最初のドア」
- 「ロブ」
- 「2番目のドア」
- 「瞳の奥に」
キャスティングは、あまり原作に忠実ではないですね。
中央のシモーネ・ブラウンがルイーズ役。
右のイヴ・ヒューソンがアデル役。
左のトム・ベイトマンがディヴィッド役です。
ルイーズの性格については見事なほどに原作通りに描写されていました。
そのため、外見の違いは見ているうちに気にならなくなりました。
みなさん、本当に芸達者ですね。
人格の入れ替わりがある本作。
シモーネ・ブラウン、イヴ・ヒューソンの役作りは大変だったと思います。
ストーリーは小道具に至るまで忠実に作りこんでありました。
原作への敬意が感じられますね。
Netflixではよくあることですが、ややエ●描写が多め。
ただし、終盤、アデルがディヴィッドと仲良くする女性に行った行為はマイルドにしてありました。
動物愛護団体がうるさいからでしょうか?
いや、誰も猫が●されるところなんて見たくないですしね…。
(しかもやり方がエグい。)
とてもよくできたドラマでしたので、気になった方はぜひどうぞ。
Netflixは作品の選び方がユニークですし、それを見事にドラマ化できる手腕がすばらしいと改めて思いました。
Netflix版『瞳の奥に』はシーズン2を待ち望むファンがいるようです。
続きが作られるとしたら同じNetflixの『13の理由』のように原作から乖離していくんでしょうね。
それはそれで、また楽しめますが。
アメリカドラマ『デクスター』なんて原作置いてけぼりでしたしね。
ドラマって奥が深いです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
少しでも参考にしていただけるとうれしいです。
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